目次
はじめに
Webデザインの世界では、文字や写真だけでなく「記号」や「アイコン」を使って情報を伝えることが日常的に行われています。その根底にある考え方が 「象徴化」 です。
象徴化とは、抽象的な概念や感情を、誰もが理解しやすい形やイメージに置き換える手法のこと。
たとえば「幸せ=四葉のクローバー」「注意=ビックリマーク」などが典型例です。
この記事では、Webデザイン初心者の方に向けて「象徴化とは何か」「なぜ大切なのか」「具体的にどう使えるのか」をわかりやすく解説していきます。
象徴とは?シンプルに理解しよう
まずは基礎から。象徴とは「概念を別の具体的なものによってあらわしたもの」を指します。
代表的な例
象徴するもの | 象徴される概念 |
---|---|
ハト | 平和 |
四葉のクローバー | 幸せ |
鍵 | 秘密 |
天秤 | 平等 |
ビックリマーク | 注意 |
十字架 | キリスト教 |
バラ | 愛・美 |
スプーン&フォーク | 食事 |
このように「直接そのものではないが、多くの人が共通認識を持つイメージ」を使うことで、言葉に頼らずに情報を伝えることができます。
象徴を使うメリット
デザインに象徴化を取り入れると、以下のような効果があります。
- イメージに深みが出る
単純な図やテキスト以上に、感情や想像力を喚起できる。 - かたちのないものを視覚化できる
たとえば「信頼」「安心」など抽象的な価値を形で表せる。 - 感情や感覚に訴えられる
見た瞬間に感覚的に伝わるので直感的。 - 多層的な表現ができる
単なる「情報」ではなく、裏側に意味やストーリーを込められる。 - 言語に頼らないコミュニケーションが可能
言葉が違っても、象徴は世界共通のサインとして伝わりやすい。
デザインには象徴が多用される
特に ロゴやアイコン の世界では象徴化が欠かせません。
- 歯車=設定
実際にPCの中に歯車は入っていませんが、誰もが「機械の調整=歯車」というイメージを共有しているため、「設定=歯車」で直感的に理解できます。 - 虫眼鏡=検索
検索のために物理的な虫眼鏡を使う人はいませんが、「探す=虫眼鏡」という連想はグローバルで広く共有されています。
このように、象徴は「共通認識を前提としたデザイン言語」と言えます。
Webデザインではナビゲーションバーやボタン、アプリのUIなどあらゆる場面で活用されています。

象徴化に含まれる「あいまいさ」
ただし、象徴化には「あいまいさ」が含まれます。
象徴と対象の間には絶対的な結びつきがあるわけではなく、あくまで「多くの人がなんとなく共有している」感覚に基づいています。
例:文化や環境による違い
- 日本では「白=清潔」のイメージが強いですが、国によっては「死や哀悼」を象徴することもある。
- ハトは日本や欧米では「平和」の象徴ですが、別の地域では単なる鳥として認識される場合もある。
つまり、象徴は「万能」ではなく、文脈や対象ユーザーに合わせて選ぶ必要があるということです。
Webデザインにおける象徴化の活用法
初心者でも実践できる象徴化の活用ポイントを整理しました。
- ユーザーが直感的に理解できるアイコンを選ぶ
例:メール=封筒、ショッピング=カート。 - 抽象的な概念を象徴に置き換える
例:信頼=盾のマーク、スピード=稲妻。 - ブランドイメージに合わせた象徴を使う
例:環境関連の企業なら「木の葉」「地球」「水滴」をロゴに活用。 - 文化的背景を意識する
グローバルサイトを作るときは、象徴の意味が地域によって異ならないか確認。 - あいまいさを武器にする
あえて抽象的にして「考えさせる余白」を残すことで、ユーザーの想像力を引き出す。
象徴化がもたらす「伝えることの楽しさ」
デザインは単に情報を伝えるだけでなく、そこに ストーリーや感情を込める楽しさ があります。
象徴化を通じて「物事の本質」を視覚的に表現すると、見る人は思わず立ち止まり、心に残る体験を得られます。
つまり、象徴化はデザインを「ただの装飾」から「人に影響を与える力」へと進化させるのです。
まとめ
- 象徴化とは?
抽象的な概念を、具体的な形やイメージで表現すること。 - メリット
感情に訴え、言語に頼らず、多層的な表現を可能にする。 - デザインでの活用
ロゴやアイコンを中心に広く用いられ、直感的なUIを実現する。 - 注意点
あいまいさを含むため、文化や文脈を考慮する必要がある。
象徴化は、初心者デザイナーにとって「デザインの引き出しを増やすための強力な武器」です。
ぜひ日常のデザインに取り入れ、ただ伝えるだけでなく「心に残るデザイン」を目指してみてください。
ワーク:象徴化を体験してみよう
ここからは、実際に手を動かして「象徴化」を練習できるワークを紹介します。難しい知識は不要で、紙とペン(もしくはPCやスマホのメモアプリ)があればできます。
ワーク1:身近な言葉を象徴に変える
- 「安心」「スピード」「学び」「挑戦」といった抽象的な言葉をリストアップしてみましょう。
- それぞれに合いそうな「モノ」や「形」を考えてみます。
例:
抽象的な言葉 | 象徴のアイデア |
---|---|
安心 | 家、盾、ハート |
スピード | 稲妻、矢印、翼 |
学び | 本、電球、木 |
挑戦 | 山、旗、ロケット |
- 完璧でなくてもOK。「これだ!」と思う直感を大切にしてみてください。
ワーク2:アイコンを探して意味を考える
- スマホやPCの中から、よく使うアプリのアイコンを3つ選んでください。
- それぞれ「何を象徴しているのか」を考えてみましょう。
例:
- カメラアプリ → レンズ(写真を撮る機能を象徴)
- メールアプリ → 封筒(手紙=コミュニケーションを象徴)
- カレンダーアプリ → 日付が書かれた四角(予定管理を象徴)
このワークをすると、「デザインは言葉を使わなくても意味を伝えている」という感覚がつかめます。
ワーク3:オリジナル象徴を作ってみる
- 好きな言葉や大切にしている価値観を一つ選んでください(例:「自由」「友情」「未来」)。
- その言葉を「モノや形」に置き換えて、簡単なラフスケッチを描いてみましょう。
- 絵が苦手でも大丈夫!「自由=風船」「未来=ロケット」などシンプルで構いません。
このワークは「ロゴを考える感覚」に近く、デザインの楽しさを実感できます。
象徴化を学ぶ最初の一歩に
これらのワークは、プロのデザイナーも実際にやっているトレーニング方法の簡易版です。
「言葉を形に変える」という体験を積み重ねると、日常の中で自然に「これって象徴だな」と気づけるようになります。
デザインはセンスだけでなく、練習で磨かれる技術です。まずは象徴化をゲーム感覚で楽しみながら、自分の表現力を広げてみてください。
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