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なぜ「ページ表示速度」がSEOに影響するのか
Googleは2010年に「サイトスピードを検索ランキングの要素に組み込む」と発表し、2018年にはスマートフォン専用のアルゴリズム「Speed Update」を導入しました。
現在では、「ページ速度 × ユーザー体験(UX)」の両立がSEOの基本指標とされています。
つまり、
表示が遅いページ=ユーザーにストレスを与えるページ
と判断され、検索順位・コンバージョン率・直帰率のすべてに悪影響を与えます。
ページ速度が遅いと何が起きるのか
❶ 直帰率が上がる(離脱が増える)
Googleのデータ分析では、読み込みが1秒遅れるだけでユーザーの離脱率が大幅に上昇することがわかっています。
| 読み込み速度 | 直帰率の上昇率 |
|---|---|
| 1秒 → 3秒 | +32% |
| 1秒 → 5秒 | +90% |
| 1秒 → 6秒 | +106% |
| 1秒 → 10秒 | +123% |
ユーザーは待たされるとすぐに別サイトへ移動してしまいます。
特にモバイル利用者は待機時間に敏感で、“3秒以内に表示されること”が理想です。
❷ 検索順位が下がる(SEO評価の低下)
Google公式ブログでは次のように述べています。
“Faster sites create happy users.”
(高速なサイトはユーザーを幸せにします)
“When a site responds slowly, visitors spend less time there.”
(遅いサイトでは滞在時間が短くなるため、ランキング要素にサイト速度を加味しました)
この発表以来、速度は検索アルゴリズムに直接影響する要素となっています。
さらに近年では、Core Web Vitals(ページ体験指標)として以下の3要素がSEO評価に加わっています。
| 指標 | 内容 | 理想値 |
|---|---|---|
| LCP(Largest Contentful Paint) | メインコンテンツが表示されるまでの時間 | 2.5秒以内 |
| INP / FID(入力応答性) | クリックや入力操作への反応速度 | 100ms以下 |
| CLS(Cumulative Layout Shift) | レイアウトのズレ量 | 0.1以下 |
これらは2024年から正式にランキングシグナルへ統合され、表示速度=UX=SEO評価という構図が確立しました。
ページ速度を測定する無料ツール
Google PageSpeed Insights
最も有名な公式ツール。
URLを入力するだけで、モバイル・PCそれぞれのスコアと改善提案が表示されます。
LCP・CLS・INPなど、Core Web Vitalsも自動で診断してくれます。
ページ表示速度を改善する7つの方法(最新版)
① 高性能サーバーを選ぶ
サーバーはサイトの「心臓」です。
性能が低いと、どんな最適化をしても限界があります。
ポイントは次の4つ。
| 項目 | 推奨設定 |
|---|---|
| 回線速度 | 1Gbps以上 |
| CPU / コア数 | 4コア以上 |
| ストレージ | SSD(またはNVMe SSD) |
| メモリ | 8GB以上推奨 |
共用サーバーよりも、専用・クラウドサーバー(ConoHa VPS、さくらクラウドなど)が安定します。
② 画像の軽量化(WebP形式が主流)
JPEGやPNGよりも、WebP / AVIF形式を使うとファイルサイズを50〜70%削減可能です。
画像圧縮には以下のツールが便利です。
WordPressでは「EWWW Image Optimizer」「ShortPixel」などのプラグインで自動圧縮できます。
③ JavaScript・CSSの最適化
- 不要なスクリプトは削除
- 複数ファイルをまとめてHTTPリクエストを減らす
- JS/CSSを圧縮(minify)する
- 遅延読み込み(defer / async)を設定する
これにより、描画ブロックが減少し、初期表示が大幅に高速化されます。
minifyって何さ?って話になりそうなので、簡単な例題のせておきますね。
JavaScriptの例:通常コード vs 圧縮コード
通常の書き方(可読性重視)
function toggleMenu() {
const menu = document.getElementById("global-nav");
const button = document.getElementById("menu-button");
if (menu.classList.contains("is-open")) {
menu.classList.remove("is-open");
button.setAttribute("aria-expanded", "false");
} else {
menu.classList.add("is-open");
button.setAttribute("aria-expanded", "true");
}
}
圧縮(minify)した書き方(サイズ・速度重視)
function toggleMenu(){const e=document.getElementById("global-nav"),t=document.getElementById("menu-button");e.classList.contains("is-open")?(e.classList.remove("is-open"),t.setAttribute("aria-expanded","false")):(e.classList.add("is-open"),t.setAttribute("aria-expanded","true"))}
💡ポイント
- 改行・インデント・余分なスペース削除
- 可能な部分は1行にまとめる
- 動作は同じだが、人間には読みにくくなるので「本番用ファイル」に使う
CSSの例:通常コード vs 圧縮コード
通常の書き方(可読性重視)
.hero-title {
font-size: 2.4rem;
font-weight: 700;
color: #222222;
margin-bottom: 16px;
}
.hero-title span {
color: #00b894;
}
圧縮(minify)した書き方
.hero-title{font-size:2.4rem;font-weight:700;color:#222;margin-bottom:16px}.hero-title span{color:#00b894}
💡ポイント
- 改行・インデント削除
#222222→#222のように省略できるカラーコードは短縮- コメントや不要なスペースは削除
④ ブラウザキャッシュの活用
キャッシュを設定することで、再訪問時の表示速度を劇的に短縮できます。
# ブラウザキャッシュ設定例
<IfModule mod_expires.c>
ExpiresActive On
ExpiresByType image/webp "access plus 1 year"
ExpiresByType text/css "access plus 1 month"
ExpiresByType application/javascript "access plus 1 month"
</IfModule>
⑤ CDN(コンテンツ配信ネットワーク)の導入
CloudflareやAWS CloudFrontを利用すれば、ユーザーに最も近いサーバーからデータを配信。
海外アクセスの多いサイトでは特に効果的です。
⑥ HTTP/3 / QUIC への対応
最新通信規格「HTTP/3」は、HTTP/2よりさらに高速で安定しています。
多くのレンタルサーバーが順次対応中なので、可能なら切り替えましょう。
⑦ Lazy Load(遅延読み込み)を活用
画像や動画を「表示領域に入ったタイミングで読み込む」設定。
初期表示が軽くなり、LCPの改善につながります。
<img src="image.webp" loading="lazy" alt="サンプル画像">
まとめ:速度は「UX」の入口であり「SEO」の基礎
- 表示速度が1秒遅れるだけで離脱率は急上昇
- Core Web VitalsはSEO評価に直結
- 画像・サーバー・JavaScriptの最適化で改善できる
- スマホ・PC両方の体感速度を重視する
高速化=ユーザー体験の向上。
Googleは「使いやすいサイト」を上位表示します。
あなたのWebサイトがユーザーにとって快適であるかどうか――
それを測る最初の指標が「ページ速度」です。



