目次
はじめに
デザインの現場でよく使われる加工表現のひとつに「デボス加工(凹み文字)」があります。
紙に実際の凹みを加えたような立体的な仕上がりを、Illustratorの機能を使ってデジタル上で再現できるのです。
名刺やポスター、ロゴデザインなど、ほんのひと手間を加えるだけでシンプルな文字が一気に高級感をまとい、見る人の印象に残るデザインに仕上がります。
特に実際の印刷加工を行うとコストや納期がかかりますが、Illustratorでのデジタル表現なら手軽に試せるのも魅力です。
本記事では、Illustratorを使って誰でも簡単に「デボス加工(凹み文字)」を作れる手順を、画像を交えてわかりやすく解説します。
初心者の方でもステップを追えば必ず完成できるので、ぜひ一緒に進めてみましょう。
Illustratorでデボス加工を作る手順
※ここからは用意したスクリーンショット画像を参考にしながら進めてください。
STEP1. 背景を作成する(任意:背景作成・固定しなくてもできます。)

長方形ツールで背景用のオブジェクトを作成します。
背景を固定しておくと作業がスムーズになるので、選択した状態で
[オブジェクト]→[ロック]→[選択]
を実行します。
←長方形ツールは左側の細長いメニュー内にあり。
オブジェクトは上段(一番上)にある横に長いメニュー内にあります。
STEP2. 文字を入力する

文字ツールでお好きな文字を入力します。
太めのフォントを選ぶと凹み効果が際立ちます。

STEP3. アウトラインを作成する
文字を選択し、[書式]→[アウトラインを作成]でアウトライン化します。
STEP4. 3Dパネルを表示させる
文字を選択し、メニューから
[効果]→[3Dとマテリアル]→[3D(クラシック)]→[3D押し出しとベベルオプション(クラシック)]
を選びます。

STEP5. 効果の設定
- パネルで以下を設定します:
- 押し出しの奥行き:150pt(ここは任意で、お好きなように)
- ブレンドの階調:256(MAX値)
- 非表示の面を描画:チェックを入れる
- 上部の[位置]は アイソメトリック-上面 に設定してOKを押します。
※詳細オプション(o)をクリックすると全ての項目が表示されます。

※どのタイミングでも良いのですが文字色変えた方が分かりやすいです。

左のメニューの下の方にある(画像の薄い赤色のとこ)をクリックして文字色変更できます。

STEP6. アピアランスを分割する
- 文字を選択し、[オブジェクト]→[アピアランスを分割]を実行します。

STEP7. 上面を選択してカットする
- ダイレクト選択ツールで、Shiftを押しながら上部の面をすべて選択します。(一つずつ面だけを選んでクリックする感じです)
- [編集]→[カット]でカットします。


STEP8. 上面を前面へペーストする
- カット後、[編集]→[前面へペースト]で元の位置にペーストします。
STEP9. 上面を複合パスにする
- 上面をすべて選択し、[オブジェクト]→[複合パス]→[作成]を実行します。

STEP10. クリッピングマスクを適用する
- 文字全体を選択し、[オブジェクト]→[クリッピングマスク]→[作成]を行います。

STEP11. 完成!
これで、凹んだように見える「デボス加工文字」の完成です。

こんなときにおすすめ!
Illustratorで作るデボス加工(凹み文字)は、単なる装飾テクニックではなく、デザインの完成度を大きく高める表現方法です。
ここでは「デボス加工の活用事例」を挙げながら、どんなシーンで役立つのかを具体的に紹介します。
- 名刺デザインに高級感をプラス
名刺のデザインにIllustratorのデボス加工を取り入れると、シンプルなレイアウトでも一気に高級感が増します。凹み文字があることで立体感が生まれ、受け取った相手に「洗練された印象」を残せます。ビジネスの第一印象を左右するツールだからこそ、凹み文字の使い方が効果的です。 - ロゴ制作で信頼感を演出
ブランドロゴやショップロゴを制作する際に、デボス加工を加えると「重厚感」「安心感」を視覚的に表現できます。特に高級ブランドやクラシックな世界観を大切にしたい場合に効果的で、Illustratorの凹み文字表現はブランド価値を際立たせる強力な武器になります。 - ポスターや広告でメリハリをつける
ポスターのタイトルや広告のキャッチコピー部分にデボス加工を使うと、画面全体にメリハリがつきます。シンプルな背景でも立体的な凹み文字が視線を自然に集め、訴求力を高めてくれます。派手な色を使わずに印象を強くしたいときにおすすめの使い方です。 - SNS用デザインで差別化する
InstagramやPinterestなどのSNS投稿にIllustratorの凹み文字を使えば、他の投稿と差別化できます。立体的なデザインは視覚的に目を引きやすく、フォロワーの記憶に残りやすい効果があります。「名言ポスト」「ブランド紹介」「キャンペーン告知」など、シンプルなビジュアルでも映えるのがデボス加工の魅力です。
まとめ
Illustratorで作るデボス加工(凹み文字)は、ただのテキストを「印象に残るデザイン」へと格上げする表現方法です。
名刺やロゴ制作では高級感を、ポスターや広告ではメリハリを、SNS投稿では他のデザインとの差別化を実現できます。
実際の印刷で行うデボス加工はコストや時間がかかりますが、Illustratorなら手軽に再現でき、デジタル作品でも十分にその効果を発揮します。
「ちょっとした工夫で、デザインがここまで変わるんだ」と実感できるのがデボス加工の魅力です。
ぜひ今回紹介した手順を参考に、あなたのデザインにも凹み文字を取り入れてみてください。
きっと作品に上質な雰囲気と存在感が加わるはずです。
次の一歩:応用や関連テクニックにも挑戦!
もし今回のデボス加工を気に入ったら、以下のような応用テクニックにも挑戦してみるとデザインの幅がさらに広がります。
- エンボス加工(浮き上がる文字):デボスの逆表現で、立体的な膨らみを表現できる
- ゴールドやメタリック風テクスチャとの組み合わせ:高級感をさらに強調できる
- Illustratorのアピアランス機能を活用した文字加工:シャドウやグラデーションとの掛け合わせで多彩な表現が可能
- Photoshopと組み合わせた質感表現:紙のテクスチャや布地風の背景と組み合わせるとリアルさが増す
デザインの基礎を押さえながら、こうした応用テクニックを学んでいくと、仕事や作品のクオリティが格段にアップします。