パーティション設計・ブートローダ・共有ライブラリの仕組みを理解する。
Linuxをインストールする際は、ただ「OSを入れる」だけでは終わりません。
ストレージの区切り方(パーティション設計)や、起動時に動くブートローダの配置、さらにアプリを支える共有ライブラリの管理など、意外と奥が深いポイントがいくつも存在します。
この記事では、Linux の基礎理解に欠かせない インストール時のディスクレイアウト、ブートローダ設定、そして共有ライブラリ管理 の3つを丁寧に解説します。
「なんとなく触っていた作業の意味が分かる」
「LPIC対策として理解を深めたい」
「Linux の内部動作をもっと知りたい」
— そんな方にぴったりな内容です。
目次
1. パーティション設計を理解する ― ストレージをどう区切る?
Linux をセットアップするときにまず必要なのが、ストレージをどのように分けるか(パーティショニング) という作業です。
パーティションとは、HDD/SSD を複数の“部屋”に仕切ること。
必要に応じて役割ごとに区切ることで、トラブル対応やデータ管理が楽になります。
最低限必要なパーティションは2つだけ
Linux を稼働させるうえで必須となるのは次の2つ。
① ルートパーティション(/)
OSの中核となるファイルをすべてここに置きます。
Linux の土台そのもの。
② スワップ領域
物理メモリが足りないときに使われる“仮想メモリ領域”。
容量の目安は、実メモリの1〜2倍が一般的。
よく利用される追加パーティション
実運用では、用途を分けるためにさらに細かく区切ることが多いです。
| パーティション | 役割 |
|---|---|
| /boot | 起動に必要なカーネルや設定ファイル。小さくてOK(100MB程度)。 |
| /home | 各ユーザーのデータ置き場。容量が膨らむことが多い。 |
| /var | ログなど変動が大きいデータのための領域。急に肥大化することも。 |
| /usr | アプリやライブラリ、ドキュメントなどの「共有データ」。 |
| /tmp | アプリが一時的に使う領域。 |
UEFI時代の必須パーティション「ESP」
最近のPCはほとんど UEFI を採用しており、起動に必要なファイルを格納するための EFI System Partition(ESP) が自動作成されます。
柔軟な管理ができる LVM
LVM(Logical Volume Manager)は、従来の固定パーティションよりも柔軟に運用できる仕組み。
- ディスク容量を後から拡張できる
- スナップショットをすぐ作れる
- バックアップがしやすい
など、サーバ運用で特に重宝される技術です。
2. ブートローダ ― OSを起動させる「司令塔」
Linux の起動はブートローダから始まります。
もっとも一般的なのは GRUB(Grand Unified Bootloader)。
GRUBには以下の2系統があります:
- 旧版:GRUB Legacy(0.9x系)
- 現行:GRUB 2(1.9x系以降でこちらが標準)
2-1. GRUB 2 のインストール
通常は自動でセットアップされますが、うまく入らなかった場合は手動でインストールします。
grub-install /dev/sda
※ Red Hat 系は grub2-install
2-2. GRUB 2 の設定方法
GRUB 2 は設定ファイルを直接編集しません。
まず /etc/default/grub を編集し、その後「設定ファイルを生成」する流れです。
Debian系
update-grub
または
grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
Red Hat系
grub2-mkconfig -o /boot/grub2/grub.cfg
/etc/default/grub で調整できる主な項目
| 項目名 | 内容 |
|---|---|
| GRUB_TIMEOUT | 自動起動までの待機秒数 |
| GRUB_DEFAULT | 既定で起動するエントリ |
| GRUB_CMDLINE_LINUX | カーネルへ渡す起動オプション |
設定を変えるたびに「設定ファイルの再生成」が必要になる点がポイントです。
3. 共有ライブラリの仕組みを理解する
アプリケーションは単体で動いているわけではなく、ライブラリ(便利機能の詰め合わせ) を利用しています。
共有ライブラリは、アプリが実行されるときに読み込まれる仕組みです。
静的ライブラリと共有ライブラリの違い
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 静的ライブラリ | ビルド時にアプリ本体へ取り込まれる。ファイルサイズは大きくなるが独立性が高い。 |
| 共有ライブラリ(動的ライブラリ) | 実行時に読み込まれる。複数アプリで共有でき、省メモリ。 |
共有ライブラリの命名ルール
例:libpthread.so.0
lib(ライブラリ名の接頭).so(shared object の意味)- バージョン番号
ライブラリの保存場所
一般的には以下のいずれか:
/lib
/lib64
/usr/lib
/usr/local/lib
アプリが依存しているライブラリを調べる(ldd)
ldd /bin/cat
実行すると、必要なライブラリ一覧が表示されます。
ライブラリ検索パスとキャッシュ
Linux の ダイナミックリンカ(ld.so / ld-linux.so) は、あらかじめ設定された場所からライブラリを検索します。
検索パスは次の場所で設定します:
/etc/ld.so.conf/etc/ld.so.conf.d/*.conf
検索効率を上げるため、キャッシュファイル /etc/ld.so.cache が使われます。
ライブラリを追加したら、必ずキャッシュを更新します。
キャッシュの更新(ldconfig)
ldconfig
一時的にライブラリパスを追加する方法
export LD_LIBRARY_PATH=/usr/local/mylib
環境変数を使う方法で、再起動すると元に戻るので安全です。
まとめ ― Linuxの内部を理解すると、運用がぐっと楽になる
この記事で扱ったポイントは、Linux のインストールだけでなく、トラブルシュートやサーバ運用においても重要な基礎知識です。
今日のおさらい
✔ パーティション関連
- パーティションはストレージを区切るための“部屋”
- 最低限必要なのは「/(ルート)」と「スワップ」
- ESP や LVM は現代的な環境では必須・便利
✔ ブートローダ関連
- Linuxでは GRUB 2 が主流
- 設定は /etc/default/grub → 設定ファイル再生成の順で行う
✔ 共有ライブラリ関連
- 静的と動的の違いを理解
- ldd で依存関係を確認できる
- ldconfig でキャッシュ更新
- LD_LIBRARY_PATH で一時的に追加可能
こうした仕組みを“なんとなく”ではなく内部まで理解しておくことで、環境構築の精度が上がり、Linux がぐっと扱いやすくなります。
LPIC対策|Linuxインストール&共有ライブラリ 暗記シート
パーティションとストレージ管理まとめ
| 用語 | 説明 | 試験ポイント |
|---|---|---|
| パーティション | HDD/SSD 内を区画に分けたもの | インストール時に必ず設計する |
| パーティショニング | パーティションを分割する作業 | 「分割方法」と「容量」が試験に出る |
| ルートパーティション(/) | OS の中心的ファイルが入る領域 | 必須 |
| スワップ領域(swap) | 物理メモリ不足を補う仮想メモリ | 推奨:物理メモリの1〜2倍 |
| /boot | カーネル・ブートローダ関連ファイル | 約100MB |
| /home | ユーザーのデータ置き場 | 独立させると安全 |
| /var | ログ・更新の多いデータ | 急に肥大化するので独立が望ましい |
| /usr | 共有プログラム・ライブラリ類 | 容量が大きい |
| /tmp | 一時ファイル置き場 | 全ユーザー共通 |
| EFI System Partition(ESP) | UEFI起動方式で必要な領域 | OSが自動作成する |
| LVM(Logical Volume Manager) | 柔軟に容量変更できるストレージ管理方式 | ボリュームグループ・論理ボリュームを理解 |
ブートローダ(GRUB)関連まとめ
| 用語/項目 | 説明 | 試験ポイント |
|---|---|---|
| GRUB Legacy | 旧版 (0.9x) / 設定は /boot/grub/menu.lst | 現在は非推奨だが出題される |
| GRUB 2 | 現行(1.9系以降) | 設定方法を覚える |
| grub-install / grub2-install | GRUB 2 をインストールするコマンド | /dev/sda に入れる例が定番 |
| /etc/default/grub | 設定編集用ファイル(GRUB 2) | 直接 grub.cfg は編集しない |
| update-grub | Debian系で設定反映 | grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg も可 |
| grub2-mkconfig -o /boot/grub2/grub.cfg | Red Hat系で設定反映 | コマンド名が違うので注意 |
GRUBの主要設定項目(暗記推奨)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| GRUB_TIMEOUT | 自動起動までの待ち秒数 |
| GRUB_DEFAULT | デフォルトで起動するエントリ |
| GRUB_CMDLINE_LINUX | カーネルへ渡す起動オプション |
共有ライブラリ(動的ライブラリ)まとめ
| 用語 | 説明 | 試験の押さえどころ |
|---|---|---|
| 静的ライブラリ | 実行ファイルに組み込むタイプ | .a が付く(参考) |
| 共有ライブラリ(動的) | 実行時に読み込むタイプ | .so が付く |
| 命名規則 | libxxx.so.バージョン | lib + 名前 + .so + 数字 |
| 保存場所 | /lib, /lib64, /usr/lib, /usr/local/lib | よく出る |
| ldd 実行ファイル名 | 必要な共有ライブラリを表示 | 依存関係チェック |
| ldconfig | ライブラリキャッシュ更新 | /etc/ld.so.cache を作り直す |
| /etc/ld.so.conf | ライブラリパス設定ファイル | ld.so.conf.d/*.conf も使う |
| LD_LIBRARY_PATH | 一時的にライブラリパス追加 | export で指定する |
【補足】LPIC と LinuC の違いをやさしく整理しよう
Linux 技術者の資格といえば 「LPIC(エルピック)」 と 「LinuC(リナック)」 の2つがよく比較されます。
名前が似ていて混乱しやすいですが、目的も運営も評価のされ方もまったく違う資格です。
ここでは、学習者が最も気になるポイントだけに絞って「どちらが何に強いか」を簡潔にまとめます。
LPIC(エルピック)とは?
- 運営:LPI(Linux Professional Institute・カナダの団体)
- 国際資格(世界共通)
- 世界中で受験・評価されているため「海外でも通用する」
- 試験範囲がディストリビューションに依存せず“汎用性が高い”
✔ LPICの特徴
- ベンダーニュートラルで純粋にLinux技術を幅広く問われる
- OSの内部理解や基礎力を重視
- グローバル企業でも評価されやすい
LinuC(リナック)とは?
- 運営:LPI-Japan(日本の団体)
- 国内向け資格(日本市場特化)
- 日本の企業ニーズに合わせた出題構成
✔ LinuCの特徴
- 日本でよく使われる技術を重点的に出題
→ クラウド / 仮想化 / コンテナ / ネットワーク関連が厚い - 実務寄りのシナリオ問題が多い
- 日本国内での転職活動に強い
ざっくり比較表(最短で違いがつかめる)
| 項目 | LPIC | LinuC |
|---|---|---|
| 運営団体 | LPI(カナダ) | LPI-Japan(日本) |
| 認知範囲 | 世界・グローバル | 日本国内 |
| 試験内容 | Linuxの基礎・内部挙動が中心 | AWS・仮想化など最新実務も含む |
| 問題傾向 | 広く深く、ベンダーフリー | 日本の企業ニーズに寄せている |
| 評価されやすい場所 | 外資系・グローバル企業 | 国内企業・インフラ系 |
| 学習難度 | やや高い(記述も多め) | 実務寄りで対策しやすい |
結局どっちを取るべき?(悩む人向けの答え)
🔹 国際的に通用する資格が欲しい → LPIC
- グローバル企業を視野に入れたい
- Linuxを“じっくり深く”理解したい
🔹 日本国内でインフラ系・クラウド案件に強くなりたい → LinuC
- AWS・仮想化・サーバ構築の実務に寄せたい
- 求人票でよく見かけるのは LinuC の方(国内のため)
学習順のおすすめ
迷ったら LinuC → LPIC の順が楽です。
理由:
- LinuCの方が問題が実務寄りで取り組みやすい
- Linux基礎の理解が固まるので LPIC がスムーズに感じる
まとめ:どちらも良い資格だが “向きが違う”
- 海外を意識するなら LPIC
- 日本の現場で強いのは LinuC
- 内容は似ているが 出題の方向性が別物
学習の目的に合わせて選ぶのが正解です。
まぁ、興味のある方で選ぶのも良いのではないでしょうか?
LinuCの方が、問題文の日本語が理解しやすいです。日本の資格なので。
個人的には、グローバルなエンジニアはLPIC、趣味や仕事でなんとなく触る人はLinuCをおススメしています。



