クラウドやリモートワークが当たり前になった今、
「社内ネットワークに入れば安全」という時代は終わりました。
そこで注目されているのが
ゼロトラスト(Zero Trust)
多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)
どちらも現代のセキュリティに欠かせない基本ですが、
「言葉だけ知っている」「なんとなく使っている」
という人も多いのではないでしょうか?
この記事では、ゼロトラストとMFAの関係性をセットで理解できるよう、わかりやすく深堀りして解説します。
目次
✅ ゼロトラストとは?
“何も信用しない”という前提で守るセキュリティ思想
従来の境界防御(城と堀モデル)では
“社内に入れれば安全” と考えていました。
しかし今は…
- リモートワーク
- BYOD(個人端末利用)
- SaaS利用増加
- VPN突破攻撃
- 内部不正
→ ネットワークの境界が存在しなくなった
だからこそゼロトラストでは、
常に検証
常に信頼を証明
常に最小権限
という姿勢が重要になります。
✅ ゼロトラストの3原則
| 原則 | 意味 |
|---|---|
| Verify Explicitly | 必ず検証する(人/デバイス/行動) |
| Least Privilege Access | 必要最低限の権限のみ |
| Assume Breach | 侵入を前提に備える |
ポイント
信じるのではなく、毎回証明するという考え方です。
✅ 多要素認証(MFA)とは?
ゼロトラストの最初の実践が MFA。
パスワードに加えて、別の認証要素を組み合わせる方法
認証要素の種類
| 種類 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| 知識情報 | 知っているもの | パスワード、PIN |
| 所持情報 | 持っているもの | スマホ、ICカード、 セキュリティキー |
| 生体情報 | 体の特徴 | 指紋、顔、虹彩、静脈 |
この中から2つ以上でMFAとなります。
✅ MFAと二段階認証の違い
| 用語 | 説明 | 注意点 |
|---|---|---|
| 二段階認証 | 2ステップ認証 | 同じ要素を繰り返す場合もある |
| MFA | 2つ以上の異なる要素 | セキュリティ強度が明確に高い |
例
- パスワード+SMSコード → MFA
- パスワード+秘密の質問 → 二段階だがMFAではない
✅ なぜMFAがゼロトラストの鍵なのか?
ゼロトラストは
「信頼を証明し続ける」思想
その入口であり、最も簡単に始められる実装がMFAです。
MFAが防ぐ攻撃
- パスワード漏えい
- フィッシング
- リスト型攻撃
- なりすまし
- 内部不正のハードル上昇
世界中のセキュリティ組織が
「まずMFAを有効化せよ」と言う理由がここにあります。
✅ MFAの実例(現場でよく使うもの)
| 方式 | 詳細 |
|---|---|
| SMSコード | アプリログイン時にコード送信 |
| 認証アプリ | Google Authenticator / Microsoft Authenticator |
| Push通知 | スマホに承認通知(最も便利) |
| FIDO2キー | YubiKeyなど物理キー |
会社で最も推奨されるのはアプリベース or FIDO2キーです。
✅ ゼロトラスト vs 従来型の違い
上の方で従来のセキュリティは、いわゆる「城と堀」モデルと説明しました。
社内ネットワークを城とし、ファイアウォールやVPNを堀として外部から守る考え方です。
以前は入ってくる敵を防げれば内部は安全という前提で成り立っていました。
しかし現在、企業の情報資産はクラウドや外部サービスに分散し、社員も会社の外から業務を行います。
つまり、城の壁がどこにあるか曖昧になったのです。
この状況で城と堀モデルを続けると、次のようなリスクが生まれます。
- VPN突破=内部自由アクセス
- 社内PCが感染すると全体へ拡大
- 内部ユーザーが悪意を持つと防げない
- シャドーIT(無断SaaS利用)で管理外リスク増加
つまり一度侵入されたら終わりという状態でした。
ゼロトラストの発想:敵は外にも中にもいる
ゼロトラストは、この前提を根本から覆します。
外部でも内部でも、誰も自動的には信用しない
すべてのアクセスは証明される必要がある
従来は「入り口を固める」発想でしたが、
ゼロトラストでは“アクセスごとに本人確認・端末確認・権限確認”を行います。
| 観点 | 従来型 | ゼロトラスト |
|---|---|---|
| 信頼 | 内部は信頼 | 誰も信頼しない |
| 防御点 | 境界(入口) | すべてのアクセス |
| リスク前提 | 侵入されない前提 | 侵入される前提 |
| 認証 | ログイン時だけ | 操作ごとに検証 |
| 通信 | 一括許可 | 必要なサービスへ最小アクセス |
実例で理解しよう
従来:VPNログイン → 全社システムへ到達可能
たとえば、
AさんのPCがマルウェア感染 → VPNを通過 → 社内サーバーに侵入
という攻撃が多発しました。
ゼロトラスト:VPN不要・サービスごとに認証
- PCが安全か?
- ユーザーは正当か?
- その操作は通常行動か?
アクセスの都度チェックすることで、
突破しても横移動(ラテラルムーブメント)を封じる仕組みです。
✅ だからMFAが重要
ゼロトラストは「何を信じるか」ではなく
どう証明するか が重要
パスワードだけでは証明にならないため、
多要素認証(MFA)はゼロトラスト実装の最初の必須ステップです。
MFA = “入口の鍵を強くする”
ゼロトラスト = “部屋ごとに鍵をかけ続ける”
この違いが腹落ちしますよね。
一言でまとめると
| 従来の防御 | ゼロトラスト |
|---|---|
| 入らせない | 入られても守る |
| 一度信じたら継続 | 常に検証し続ける |
論点は「侵入防止」から“侵入を前提に、被害範囲を最小化”へ
企業セキュリティが進化する背景がはっきり見えてきます。
| 従来 | ゼロトラスト |
|---|---|
| 社内=安全 | どこでも常に検証 |
| VPNで保護 | ID・デバイスで認証 |
| 侵入前提で防衛 | 侵入後も検知・制御 |
| パスワード中心 | MFA必須 |
✅ ゼロトラスト × MFAの導入ステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 全ユーザーMFA必須化 |
| 2 | 端末の登録&信頼デバイス管理 |
| 3 | アクセス権限を最小化 |
| 4 | 行動ログ監視を導入 |
| 5 | 自動化&SASEへ発展 |
まずはMFA+端末管理から始めればOK。
✅ まとめ:MFAはゼロトラストの入口
ゼロトラスト =「何も信じない、すべて検証」
MFA = その思想を実践する最初の一歩
MFAを導入するだけで
攻撃を防げる可能性は大幅に上がります。
この考え方は
個人のセキュリティにも必須です。
- Googleアカウント
- Microsoft
- Apple
- LINE / PayPay / Amazon
→ 全部MFAにするだけで防御力が爆上がりします。


