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ITパスポート試験|ストラテジ系「法務」まとめ

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ITパスポート法務

ITパスポート試験のストラテジ系分野の中で「法務」は、ITの現場やビジネスで働く人に欠かせない知識を問われるパートです。


「法律」と聞くと少し堅苦しい印象を持つかもしれませんが、内容は意外と私たちの身近な生活や仕事に直結しています。

  • ソフトウェアをコピーして使っていいの?
  • インターネット上の情報を勝手に転載してもいいの?
  • 自分の個人情報はどうやって守られているの?

こうした疑問に答えるのが法務分野の知識です。

はじめに

まずはザッと表にしたので確認してください。

分類内容キーワード / 用語試験頻出度
知的財産権創作物・発明を守る権利著作権・産業財産権・営業秘密★★★
著作権とは著作物を創作した時点で発生対象:小説・絵画・ソフトウェア
対象外:アイデア・事実
★★★
ソフトウェア著作権使用許諾契約、アクティベーション、ボリュームライセンス契約、サイトライセンス契約ライセンス契約関連★★★
その他の権利営業秘密(3条件:管理・有用性・非公開)営業秘密★★☆
産業財産権発明やデザインを保護特許権・実用新案権・意匠権・商標権
ビジネスモデル特許
★★★
不正行為の禁止他社の不正利用や模倣を禁止不正競争防止法★★☆
セキュリティ法規情報セキュリティを守る法律サイバーセキュリティ基本法、不正アクセス禁止法、プロバイダ責任制限法★★☆
個人情報保護法個人情報を守る法律個人識別符号、要配慮個人情報、匿名加工情報★★★
個人情報関連用語情報の扱い方や制度第三者提供、オプトイン、オプトアウト、マイナンバー法、マイナンバー、マイナンバーカード、マイナポータル★★★
労働契約と法雇用に関する契約や保護雇用契約、労働者派遣契約(派遣法)、請負契約、委任契約(準委任契約が試験範囲)★★★
労働基準法労働者を守る基本法フレックスタイム制、コアタイム、裁量労働制(専門業務型・企画業務型)★★☆
取引関連の法律企業間取引や消費者保護NDA、下請法、独占禁止法、特定商取引法(クーリングオフ)、PL法、情報公開法★★★
規格と標準化製品・サービスの国際標準デファクトスタンダード★★☆
ISO国際標準化機構の規格ISO9000(品質)、ISO14000(環境)、ISO26000(社会責任)、ISO/IEC27000(情報セキュリティ)★★★
ISO以外の団体標準化団体IEC、IEEE、W3C、IYU、フォーラム標準★★☆
JIS日本工業規格JIS Q 38500(ITガバナンス)★★☆
コード規格世界共通コードQRコード、JANコード(バーコード)★★☆

知的財産権(商品やサービスを守るための権利)

 知的財産権とは

引用元サイト:特許庁

知的財産権とは「頭の中で生まれたアイデアや成果物を守るための権利」です。


たとえば小説や音楽、ソフトウェアのプログラムなどは目に見えないけれど価値のある財産ですよね。

これを無断でコピーされたり盗用されたりしないようにする仕組みが知的財産権です。

知的財産権は、創作物や発明など「形のない財産」を保護する権利です。大きく3つに分類されます。

  • 著作権(文化的な創作物の保護)
  • 産業財産権(産業活動に関わる発明やデザインの保護)
  • その他の権利(営業秘密など)

👉 ITパスポートでは「著作権」「産業財産権」「営業秘密」の3つがよく出ます。

 著作権とは

著作権は、創作物を作った瞬間に自動的に発生します。

  • 対象範囲:小説、絵画、音楽、写真、ソフトウェアなど
  • 対象外:単なるアイデアや事実(例:レシピそのもの、歴史的事実)

👉 試験でよく問われるのは「ソフトウェアも著作物として保護される」という点です。

ソフトウェア関連の契約形態

使用許諾契約(ライセンス契約):利用者に「使う権利」を与える契約

アクティベーション:正規利用かどうか確認する仕組み

ボリュームライセンス契約:複数台でまとめて利用できる契約

サイトライセンス契約:組織全体に一括で利用権を与える契約

ポイント

  • 個人利用 → 使用許諾契約(1台ごと)
  • 複数台利用 → ボリュームライセンス契約
  • 組織全体 → サイトライセンス契約
  • 不正防止 → アクティベーション

👉 ITパスポートでは「購入=所有」ではなく「利用権を得ているだけ」という考え方がよく問われます。

契約形態内容特徴・ポイント試験での狙われ方
使用許諾契約(ライセンス契約)ソフトウェアを利用する権利を与える契約購入しても「所有権」ではなく「利用権」を持つだけ「買ったのにコピーして配布できないのはなぜ?」という出題
アクティベーションソフトウェアを使用開始する際の認証手続き正規ユーザーかを確認する仕組み不正コピー防止に関する問題で登場
ボリュームライセンス契約複数台のPCにインストール可能な契約企業向けにまとめてライセンスを提供「1ライセンス=1台」との違いを問う
サイトライセンス契約組織単位で一括して利用可能な契約学校・企業などで大量利用する場合に便利「企業全体で利用可能」といった文脈で出題

 その他の権利とは

代表例は営業秘密で、外に漏れると困る情報を守るという意味を持っています。

3つの条件を満たす必要があります。

  1. 秘密として管理されている
  2. 有用な情報である
  3. 公然と知られていない

 産業財産権とは

産業分野の知的財産を保護するもので、「産業活動の中で生まれた新しいものを守る権利」です。

引用元サイト:特許庁

次の4つがあります。

  • 特許権:新しい発明を保護
  • 実用新案権:小さな改良や考案を保護
  • 意匠権:デザイン(形や模様)を保護
  • 商標権:商品やサービスを区別するマーク(ブランド名やロゴマーク)を保護
区分内容キーワード / 用語試験頻出度
知的財産権とは著作権・産業財産権・営業秘密を守る仕組み知的財産権★★★
著作権とは著作物を創作した時点で発生する権利著作権、著作物、対象範囲/対象外★★★
ソフトウェア著作権ソフトも保護対象。契約形態を理解使用許諾契約、アクティベーション、ボリュームライセンス契約、サイトライセンス契約★★★
その他の権利営業秘密(秘密管理・有用性・非公開の3条件)営業秘密★★☆
産業財産権発明やデザインを保護する権利特許権、実用新案権、意匠権、商標権、ビジネスモデル特許★★★

 ビジネスモデル特許とは?

最近の試験では「ビジネスモデル特許」もよく出題されます。

これは「ネットショッピングの仕組み」などビジネスの方法自体に特許を与える制度です。

基本的な考え方

ビジネスモデル特許とは、ビジネスモデルを実行するための技術的な工夫、インターネットなどの情報技術(IT)を活用した工夫が、ビジネスモデル特許の対象です。

例えば…

  • ネット通販の仕組み(カート機能やポイント付与システム)
  • 銀行のオンライン決済方法
  • 飛行機の座席予約と課金システム

といった「サービス提供の新しい方法」を特許として認めるのが特徴です。

引用元サイト:特許庁

ビジネスモデル特許の特徴

項目内容
定義ビジネスの仕組み・方法に関する特許ネット販売、予約システム、ポイント還元など
対象コンピュータやネットワークを利用した取引・サービスの流れECサイト、オンライン決済、電子チケット
メリット競合に模倣されにくい
サービス差別化につながる
「あの仕組みはこの企業だけ」と認識される
デメリットアイデアの段階では特許が取れない
「抽象的すぎる」ものは認められない
「ネットで物を売る」というだけではNG
試験での狙われ方産業財産権(特許権)の一種として出題される「発明」だけでなく「ビジネスの仕組み」にも特許があることを問う

伝統的な特許との違い

比較項目従来の特許(技術系)ビジネスモデル特許
対象技術的な発明(機械、化学製品など)ビジネス方法(サービス提供や取引の仕組み)
必要条件新規性・進歩性・産業上の利用可能性同じ(特許法の要件を満たす必要あり)
典型例新しいエンジン構造、医薬品の合成法ネットショップの「まとめ買い割引」システム
出題ポイント物理的・技術的な発明IT・サービス業界ならではの仕組み

試験対策ポイント

  • ビジネスモデル特許は 産業財産権の一つとして出題される
  • 「ビジネスの仕組みでも特許が取れる」点を理解しておく
  • ただし「単なるアイデア」はNG(実際にコンピュータやネットワークを用いた仕組みである必要がある)
マイナンバー管理アドバイザー特別講習会→トップ差替

企業の不正行為を禁止する法律

  • 不正競争防止法他社の商品名を真似したり、営業秘密を不正に利用したりする行為を禁止。

他社の商品名をまねたり、営業秘密を盗んだりする行為を取り締まるのが不正競争防止法です。
たとえば「スターバックス」とそっくりな名前でコーヒー店を出すのはNGですね。

区分内容キーワード / 用語試験頻出度
不正競争防止法他社ブランド・営業秘密の不正利用を禁止不正競争防止法★★☆

企業の情報を守る法律

ITの世界では「情報の扱い」が特に重要です。

👉 不正アクセス禁止法は「ID・パスワードの共有」など実務にも関わるので要注意です。

 セキュリティに関する法律

区分内容キーワード / 用語試験頻出度
サイバーセキュリティ基本法国家レベルでの安全確保サイバーセキュリティ基本法★★☆
不正アクセス禁止法ID・パスワード不正利用を禁止不正アクセス禁止法★★☆
プロバイダ責任制限法書き込み削除依頼などの責任範囲を明確化プロバイダ責任制限法★★☆

個人情報保護法(個人情報を保護する法律)

個人情報保護法は「私たちの個人情報を適切に扱う」ためのルールです。

 個人情報に関する用語

  • 個人識別符号:指紋や顔認証など個人を特定できる情報
  • 要配慮個人情報:人種や病歴など差別につながりやすい情報
  • 匿名加工情報:特定できないように加工されたデータ

 個人情報の扱い用語

  • 第三者提供:外部に情報を渡すこと
  • オプトイン/オプトアウト:広告メールなどの同意方式
  • マイナンバー法:マイナンバーと呼ばれる個人番号(12桁の数字)の利用などに関する法律。

👉 ITパスポートでは「個人情報保護法とマイナンバー法」がよく出題されます。

区分内容キーワード / 用語試験頻出度
個人情報保護法個人情報の収集・利用ルールを定める法律個人情報保護法★★★
個人情報に関する用語情報の種類と扱い方個人識別符号、要配慮個人情報、匿名加工情報★★★
個人情報の扱い用語提供方法や制度第三者提供、オプトイン、オプトアウト、マイナンバー法、マイナンバー、マイナンバーカード、マイナポータル★★★

労働に関する契約や法律

  • 雇用契約:一般的な労働契約
  • 労働者派遣契約:派遣社員の仕組み(派遣法で禁止行為あり)
  • 請負契約:成果物の完成に責任を持つ
  • 委任契約(準委任契約):作業を行うこと自体に責任を持つ(ITパスポートでは準委任契約が出題される)

 労働基準法

  • 労働条件を守る基本的な法律
  • フレックスタイム制・コアタイム:働く時間を柔軟に調整
  • 裁量労働制:専門職や企画職に多い働き方
区分内容キーワード / 用語試験頻出度
雇用契約企業と労働者の契約雇用契約★★☆
労働者派遣契約派遣法で禁止行為あり労働者派遣契約、労働派遣法★★☆
請負契約成果物完成を目的請負契約★★☆
委任契約(準委任)業務遂行を目的(試験範囲で重要)委任契約、準委任契約★★★
労働基準法労働条件の基本法フレックスタイム制、コアタイム、裁量労働制(専門業務型・企画業務型)★★☆

取引に関する契約や法律

企業間のやり取りや消費者保護に関する法律です。

  • NDA(秘密保持契約):情報を漏らさない契約
  • 下請法:大企業と下請けの不公平な取引を禁止
  • 独占禁止法:市場の公正な競争を守る
  • 特定商取引法:訪問販売や通信販売でのトラブル防止(クーリングオフ制度あり)
  • PL法:製造物責任法。欠陥製品による事故の責任をメーカーが負う
  • 情報公開法:国や自治体が情報を公開するルール

👉 特定商取引法のクーリングオフ制度とPL法は頻出です。

区分内容キーワード / 用語試験頻出度
NDA秘密保持契約NDA★★★
下請法下請け企業を保護下請法★★☆
独占禁止法公正な競争を確保独占禁止法★★☆
特定商取引法消費者保護
(クーリングオフ制度)
特定商取引法、クーリングオフ★★★
PL法製造物責任法
欠陥商品の責任
PL法★★★
情報公開法行政機関の情報を公開情報公開法★★☆

製品やサービスの規格

 標準化(デファクトスタンダード)

市場で事実上の標準になったものをデファクトスタンダードと呼びます。

例:Windows OS、USB規格、用紙のサイズ(A4、A3など)

 ISO(国際標準化機構)

  • ISO9000:品質管理
  • ISO14000:環境マネジメント
  • ISO26000:社会的責任
  • ISO/IEC27000:情報セキュリティ

 ISO以外の団体

IEC(電気分野)            URL:https://www.iec.ch/homepage

IEEE(電子・通信分野)        URL:https://www.ieee.org/

W3C(Web標準、HTML/CSSを策定) URL:https://www.w3.org/

ITU(国際電気通信連合)       URL:https://www.itu.int/en/Pages/default.aspx

略称英語表記日本語での役割・分野
IECInternational Electrotechnical Commission電気・電子技術分野の国際標準化(電気規格)
IEEEInstitute of Electrical and Electronics Engineers電子・電気・通信分野の学会。
Wi-FiやLAN規格(IEEE802)などを策定
W3CWorld Wide Web ConsortiumWeb標準を策定する団体
(HTML、CSS、XML など)
ITUInternational Telecommunication Union国際電気通信連合。
通信や放送分野の標準化を担当
(国連の専門機関)

JIS(日本工業規格)

  • ITガバナンス関連ではJIS Q 38500が重要です。

別記事で書きたくなるほど長くなるのですが、ITパスポート向けの記事なのでサラッと説明してみたいと思います。

基本的な定義

  • 正式名称:「情報技術—ITガバナンス—組織のための指針」
  • 国際規格 ISO/IEC 38500 を日本語化した JIS(日本工業規格)
  • 内容:企業や組織が情報システムやITを正しく管理・運用するための指針を定めている

ITガバナンスとは?

「ITガバナンス」というのは、組織がITを適切に活用し、経営目標を達成できるようにする仕組みのことです。
👉 「情報システム部門に任せきり」ではなく、経営層も含めて組織全体でITをどう使うかを考えるのがポイント。

JIS Q 38500の目的

  1. 経営層へのガイドライン提供
    • 経営者や役員が、IT投資やシステム運用に責任を持つよう促す。
  2. 組織全体のIT活用を健全にする
    • 情報漏洩やシステム障害を防ぎつつ、業務効率を高める。
  3. ITリスクの抑制
    • コンプライアンス(法令遵守)、セキュリティ、コスト管理を徹底。

JIS Q 38500のポイントを表で整理

項目内容試験での狙われ方
規格の位置づけISO/IEC 38500 を翻訳した日本の規格「国際規格のJIS版」であること
目的ITガバナンスの基本指針を提供経営者や役員が対象
対象企業や組織の経営層・管理者「システム担当者だけ」ではない
主な内容ITの責任ある利用、リスク管理、投資判断「経営層に責任がある」ことが重要
関連用語ITガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメント「情報システムの適切な運用」に関連して出題

試験でのよくある出題例

  • 「JIS Q 38500は誰に向けた指針か?」 → 経営層
  • 「内容はシステムの詳細設計か、経営層の指針か?」 → 経営層の指針
  • 「ISO/IEC 38500の日本版は?」 → JIS Q 38500

まとめ

  • JIS Q 38500は 「ITガバナンス=経営者がITをどう使うかを決める責任」 を示す規格。
  • ITパスポートでは「情報システム部門ではなく、経営層のための指針であること」を押さえておくと得点できます。

 世界共通で使えるコード

  • QRコード
  • JANコード(バーコード)
区分内容キーワード / 用語試験頻出度
標準化市場で事実上の標準デファクトスタンダード★★☆
ISO規格国際標準化ISO9000、ISO14000、ISO26000、ISO/IEC27000★★★
ISO以外の団体他の標準化団体IEC、IEEE、W3C、ITU、フォーラム標準★★☆
JIS日本工業規格JIS Q 38500★★☆
世界共通コード世界共通の識別コードQRコード、JANコード(バーコード)★★☆

まとめ

ITパスポートのストラテジ系「法務」では、知的財産権・個人情報保護法・労働法制・契約関連の法律がよく出題されます。

特にソフトウェアの著作権や個人情報保護法は毎年のように出るため、重点的に学習すると得点源になります。

試験でよく出るポイント

  • ソフトウェアの著作権(ライセンス契約)
  • 個人情報保護法(要配慮個人情報・マイナンバー制度)
  • 産業財産権(特許権・意匠権・商標権)
  • 労働契約(雇用契約・準委任契約)
  • 取引契約(NDA・PL法・クーリングオフ)
  • ISO規格と標準化

👉 ここまで整理しておけば、法務分野の出題は効率よく攻略できます!

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