「言葉が似すぎて違いがわからん!」——初学者のあるあるですよね。
本記事では、Webシステム / Webアプリケーション / Webサイト / Webサービス / Webブラウザの5つを、まず一言でつかみ、次に表で比較し、最後は実例と会話テンプレまで用意して“使い分けられる状態”にします。
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目次
まずはざっくりつかむ(ざっくり定義)

Webブラウザ | インターネットを見るためのアプリ (例:Chrome、Safari) |
Webサイト | ブラウザで見る“ページの集まり” (例:企業サイト、ブログ、採用サイト) |
Webアプリケーション | ページを見るだけでなく操作して結果が変わるWeb上の“アプリ”(例:Gmail、Googleマップ、ECのカート) |
Webサービス | インターネット経由で提供される機能そのもの (UIのサービス、APIなど) |
Webシステム | Webで動く仕組み一式 (フロント+サーバー+DB+運用)の総称。 |
5つの違いが一目でわかる!使い分け早見表
用語 | 一言イメージ | 主語になりやすい人 | 何を指している? | 代表例 | キーワード |
---|---|---|---|---|---|
Webブラウザ | 見るための“道具” | ユーザー | アプリ(端末側) | Chrome / Safari / Edge | 閲覧・実行環境 |
Webサイト | 読む“ページの集まり” | 広報/マーケ | コンテンツ集合体 | 会社HP、ブログ、LP | 情報発信 |
Webアプリケーション | 触って結果が変わる“Webのアプリ” | プロダクト/開発 | 画面+ロジック | Gmail、Notion、ECカート | 交互作用/処理 |
Webサービス | 提供される“機能・価値” | 事業/開発 | SaaSやAPI | Slack、Stripe API | 提供価値 |
Webシステム | 仕組み一式の“総称” | 開発/IT部門 | 構成・運用含む全体 | サイト+API+DB+監視 | アーキテクチャ |
用語の正体をもう少し丁寧に
Webブラウザ
項目 | 内容 |
---|---|
役割 | Webを表示・実行する“道具” |
主な機能 | HTML/CSS/JSの解釈、拡張機能、開発者ツール |
使う人 | ユーザー/開発者 |
関連語 | レンダリング、キャッシュ、Cookie、DevTools |
Webサイト
項目 | 内容 |
---|---|
役割 | 企業情報・記事・採用・LPなどを掲載 |
ゴール | 認知・信頼獲得、問い合わせ、資料DL |
代表的構成 | トップ/会社情報/ブログ/お問い合わせ |
関連語 | SEO、CMS、OGP、サイトマップ |
Webアプリケーション
項目 | 内容 |
---|---|
役割 | 入力・検索・投稿・決済など“操作で変わる”体験 |
ゴール | 作業/業務/コミュニケーションを完結させる |
代表例 | Gmail、Notion、Trello、EC購入フロー |
関連語 | SPA、SSR、認証、セッション、API連携 |
Webサービス
項目 | 内容 |
---|---|
役割 | インターネット経由で価値を提供する“サービス” |
形態 | UIありのSaaS/UIなしのAPIどちらも含む |
代表例 | Slack(SaaS)、Stripe API(API) |
関連語 | サブスク、SLA、課金、SDK、Webhook |
Webシステム
項目 | 内容 |
---|---|
役割 | WebサイトやWebアプリを動かす仕組み全体 |
含まれるもの | フロント、サーバー、DB、インフラ、監視、CI/CD |
使う場面 | 要件定義、保守運用、セキュリティ・負荷対策 |
関連語 | アーキテクチャ、スケーリング、冗長化、監視 |
関係性を図で直感理解
ユーザー
└─ Webブラウザ(見る道具)
└─ Webサイト(読む主体)/Webアプリケーション(操作主体)
└─ Webサービス(価値・API・SaaSの“中身”)
└─ Webシステム(それらを支える全体の仕組み)
└─ サーバー/DB/ネットワーク/監視・運用
- ブラウザは“入り口”。
- 中でサイト(情報)やアプリ(処理)を使う。
- それを提供するのがWebサービス。
- それらを安定稼働させる全体設計がWebシステム。
よくある誤解と正しい言い換え
よくある言い方 | 正しくは | 理由 |
---|---|---|
「ブラウザが重い=サイトが悪い」 | 回線/端末/ブラウザ拡張も疑う | 因果が複数。切り分け必須 |
「うちのサイトはアプリです」 | 双方向の処理が中心なら“Webアプリ” | 静的情報中心なら“Webサイト” |
「API=Webサービス全部」 | APIはWebサービスの一部 | UIなし提供の“窓口”に近い |
「システム=サーバーだけ」 | 運用・監視・DBまで含む | 全体最適の観点が重要 |
具体例でイメージ(4シーン)
1. 会社ブログ
- Webサイト:記事ページ群
- Webブラウザ:Chromeで閲覧
- Webシステム:CMS+DB+ホスティング+バックアップ
- Webサービス:CDN/メール配送などの外部サービス
2. ECショップ
- Webアプリケーション:カート、ログイン、決済
- Webサービス:決済API、在庫API
- Webシステム:サーバー、DB、監視、拡張(レビュー機能)
3. タスク管理ツール
- Webアプリケーション:タスク作成/共有/検索
- Webサービス:通知や認証の外部連携API
- Webサイト:料金表やヘルプページ
4. 社内申請システム
- Webアプリケーション:申請→承認のワークフロー
- Webシステム:社内ネットワーク、権限、ログ監査
- Webサービス:社内SSO、ドキュメント閲覧API
初学者が会話で困らない“ひとことテンプレ”
- 「閲覧用のブラウザ(Chromeなど)で、会社のWebサイトの採用ページを見ました。」
- 「購入フローはWebアプリケーションなので、サーバー側とAPIの処理が肝です。」
- 「このWebサービスはUIのSaaSとAPI提供の両輪です。」
- 「Webシステム全体では、監視・バックアップ・権限まで含めて設計が必要です。」
さらに深く理解するためのミニ比較(技術観点)
観点 | Webサイト | Webアプリケーション | Webサービス | Webシステム |
---|---|---|---|---|
主体 | 情報提供 | 処理・業務 | 価値提供(UI/API) | 全体構成 |
主要技術 | HTML/CSS、軽いJS | JSフレームワーク、API、DB | REST/GraphQL、SaaS | インフラ、監視、セキュリティ |
成功指標 | PV、滞在時間、CVR | 完了率、速度、安定性 | 継続率、SLA、MAU | 稼働率、復旧時間、コスト |
作る人 | デザイナー/マークアップ | フロント/バックエンド | 事業+開発 | SRE/インフラ/開発全般 |
学習の道筋(最短ロードマップ)
- 用語の地図をつかむ(本記事でOK)
- ブラウザの基本(検証ツール/ネットワーク)
- Webサイト制作(HTML/CSS、SEOの基礎)
- Webアプリの基礎(フォーム、認証、API連携、状態管理)
- Webサービス理解(SaaSとAPI、料金とSLAの見方)
- Webシステムの全体設計(サーバー、DB、セキュリティ、監視)
まとめ(要点の持ち帰り)
- ブラウザ=道具、サイト=読む集合、アプリ=操作して変わる、サービス=価値提供、システム=全部まとめた仕組み。
- 会話では、何をしたいか(閲覧/操作/提供/運用)で言葉を選ぶとブレません。
- 迷ったら「ユーザーが触るのは何?」「裏側の仕組みは?」の2軸で切り分けましょう。
